コムギの高温応答を説明するバイオマーカーを見いだしました。
- 2022/01/06
- 研究成果
Metabolome Profiling of Heat Priming Effects, Senescence, and Acclimation of Bread Wheat Induced by High Temperatures at Different Growth Stages
Sachiko Matsunaga, Yuji Yamasaki, Ryosuke Mega, Yusuke Toda, Kinya Akashi and Hisashi Tsujimoto
(高温で誘導されたパンコムギの生育段階別の高温プライミング効果、老化、順化のメタボロームプロファイリング)
Journal: International Journal of Molecular Sciences
https://doi.org/10.3390/ijms222313139
パンコムギの幼苗期、栄養成長期、種子登熟期の3つの生育段階に高温を暴露すると、形態的および生理的に特異なストレス応答が現れる。例えば、幼苗期の高温暴露は千粒重の増大、種子登熟期の高温は早期老化、連続的な長期間の高温は高温順化を引き起こす。本研究では、高温によって引き起こされたこれらの生育段階特異的な現象の背後にある代謝機構の網羅的解明を試みた。高温にさらされた植物の生育段階ごとの69種類の代謝物の動態を調べ、高温応答と強く相関する代謝物を明らかにし、特に老化と順化を説明することができる代謝物を同定でき、バイオマーカーとして利用できることを提案した。本研究で得られたバイオマーカーにの変動により、植物のストレス応答を物質レベルで正確に得ることができ、高温耐性系統の選抜に利用できると考えられる。
