Tottori University

ホーム > ニュースリリース > 近年のモンゴルにおける干ばつの状況を衛星でモニタリングしました。

近年のモンゴルにおける干ばつの状況を衛星でモニタリングしました。

Use of a MODIS Satellite-Based Aridity Index to Monitor Drought Conditions in Mongolia from 2001 to 2013
Reiji Kimura and Masao Moriyama
(2001~2013年のモンゴルにおける干ばつ状況をモニタリングするためのSatellite-Based Aridity Indexの適用)

Journal: Remote Sensing

モンゴルでは、砂漠化とダストの発生という災害に加え、夏の干ばつの影響により冬に家畜に被害を及ぼす「ゾド」と呼ばれる災害も加わり、「4D災害」として恐れられています。2000年から2009年にかけて、モンゴルでは干ばつが頻発していますが、本研究ではこの期間の干ばつの発生をモンゴルの北中部(草原)と南部(乾燥地域)の2つのゾーンに分け、衛星指標によってその要因を特定することを試みました。その結果、この期間の降水量が減少トレンドであることにより、植生や地表面の湿潤度が減少していたことが示唆されましたが、2009年から2020年にかけては降水量の増加トレンドにより、植生や地表面の湿潤度が増加している傾向が明らかになりました。気候学的に見ると、北中部は半乾燥地域に分類されていますが、現状は乾燥地域の様相を呈しています。夏季に集中する雨の降り方が変化し、植生も増えてくれば、北中部の水環境も変化することが予想されます。北中部では、場所によって地表面の湿潤度が大きい場所があり、そのような場所では放牧圧が大きくなりすぎないよう注意深く監視する必要があります。

モンゴル全土におけるNDVI(植生指標)やSbAI(地表面の乾燥度合いを表す指標)の経年変化。赤矢印は干ばつ年を示す。