鳥取大学乾燥地研究センターの砂丘圃場でコムギの根を迅速に評価する計測手法を開発
- 2026/10/28
- 研究成果
Fast and efficient root phenotyping of wheat cybrids using an optimized root-pulling force protocol under Tottori sandy field conditions
Rika Sugiura, Kingsley Ikenna Ikpa-Agodo, Takashi Okamoto, Benjamin Ewa Ubi, Takayoshi Ishii
Journal: Plant Methods
乾燥地に適した作物の育成には、土壌中の水分や養分を吸収する根系の特性を把握することが重要です。しかし、圃場で栽培した多数の植物の根を掘り出し、詳細に計測するには多くの時間と労力を要します。特に成熟したコムギの根系を効率的に評価する技術の確立が課題となっていました。本研究では、鳥取大学乾燥地研究センターの砂丘圃場において、植物を地面から垂直に引き抜く際の最大の力(Root-Pulling Force: RPF、根の引抜力)を測定し、コムギの根系を迅速に評価する手法を検討しました。材料には通常のコムギ品種Fielderに加え、イネまたはトウモロコシに由来するミトコンドリアを含むコムギ・サイブリッド系統を用い、成熟期と未成熟期の植物を比較しました。手法の標準化により、1個体当たり約5秒で引抜力を測定でき、4名の作業者で実働24時間以内に1,000個体以上を評価できることを示しました。成熟期の引抜力は1.47~20.61 kgの範囲で変異し、系統間での再現性の指標である反復性は0.83でした。引抜力は、引き抜いて回収した根の面積、根の乾燥重量、根に付着した土壌重量と有意な正の相関を示しました(図1)。一方、未成熟期では引抜力の反復性が0.13と低く、系統差も有意ではありませんでした。本成果により、砂質圃場で栽培した成熟期のコムギを対象に、根の特性を効率的に一次選抜する方法が示されました。

図1 コムギ・サイブリッドの根引抜力と根への付着土壌重量の関係。砂丘圃場における成熟期の根引抜力は、根に付着した土壌重量と強く関連していました(Sugiura and Ikpa-Agodo et al., 2026, Plant Methods, Fig. 2から引用)。

