スーダン在来トウモロコシの種子ミネラル成分と鉄輸送関連遺伝子の多様性を解析
- 2026/10/28
- 研究成果
Exploring ZmZIP10 (ZmIRT1) variation linked to kernel iron and mineral co-accumulation in indigenous Sudanese maize
Eltayb Abdellatef, Nasrein Mohamed Kamal, Ismail Ahmed Mohammed, Khaled Hashem Radwan, Hisashi Tsujimoto
Journal: BMC Plant Biology
鉄や亜鉛は人の健康に不可欠な微量栄養素ですが、これらの不足はアフリカなどの地域で重要な栄養課題となっています。主食作物の穀粒に含まれるミネラルを育種によって増やす「栄養強化(バイオフォーティフィケーション)」を進めるには、在来品種に存在するミネラル蓄積能力とその遺伝的多様性を明らかにすることが重要です。本研究では、スーダン各地に由来する在来トウモロコシ25系統を対象として、穀粒の各種ミネラル含量を分析するとともに、分子マーカーを用いて遺伝的多様性を評価しました。また、鉄・亜鉛の輸送に関係する候補遺伝子ZmZIP10(ZmIRT1)の塩基配列の変異を解析し、ミネラル集積との関係を検討しました。穀粒中の鉄濃度は約24.5~50.0 mg/kg、亜鉛濃度は約37.5~255.9 mg/kgと系統間で大きく異なりました。鉄や亜鉛は、カルシウム、コバルト、バリウムなど一部の元素との正の関連も示しました。SRAP解析では在来系統間の遺伝的差異が明らかになり、ZmZIP10の配列解析では多数の塩基多型が検出されました。これらの結果は、在来トウモロコシが栄養成分改良のための遺伝資源となることを示しています。本研究は、穀粒のミネラル組成と遺伝情報を組み合わせることにより、鉄や亜鉛の含量を高める育種素材を探索する基礎情報を提供しました。今後は候補遺伝子の機能検証や異なる環境での評価を進めることで、乾燥地域の栄養改善に貢献するトウモロコシ育種への応用が期待されます(図1)。

図1 スーダン在来トウモロコシ25系統における穀粒ミネラル含量の分布。各元素の濃度には系統間変異が認められ、栄養強化育種のための素材選抜に役立つことが示されました(Abdellatef et al., 2026, BMC Plant Biology, Fig. 2から引用)。

