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ソルガムを活用した炭素貯留と気候変動に強い乾燥地農業の実現に向けた研究戦略を提案

Carbon sequestration strategies for climate resilience: Sorghum-based innovations for sustainable agriculture in dryland regions
Monir Idres Yahya Ahmed, Ahmed Khaled Hassan Mohammedali, Nasrein Mohamed Kamal, Takashi Okamoto, Takayoshi Ishii

Journal: Plants, People, Planet

気候変動による高温や干ばつの深刻化は、乾燥地における食料生産と農地の持続的利用に大きな課題をもたらしています。農作物の生産性を維持しながら、大気中の二酸化炭素(CO₂)を植物に取り込み、土壌中に炭素を蓄積する技術が求められています。ソルガムは乾燥や高温に強いC4作物であり、高いバイオマス生産能力と発達した根系を持つことから、その活用が期待されています。本論文は、ソルガムによる炭素固定と土壌炭素貯留について、植物生理、根系、バイオマス分配、土壌微生物、作物残渣の管理、育種および農業政策に関する既往研究を統合した総説です。関連文献を整理し、光合成による炭素の取り込み、根や残渣を通じた土壌への炭素供給、微生物や土壌鉱物による炭素の安定化を結び付けて考察しました。総説では、①高い光合成能力とバイオマス生産による地上部の炭素固定、②深く発達した根系を通じた地下部への炭素配分、③作物残渣の還元や微生物活動、土壌団粒形成による炭素の安定化、という三つの視点を統合することが重要だと整理しました。また、多収性、耐乾性、深根性、葉の老化が遅いstay-green形質などを組み合わせ、ゲノム解析や高精度な形質評価を利用する「炭素貯留を意識したソルガム育種」の方向性を示しました(図1)。一方、植物が多量のCO₂を吸収しても、それが長期間にわたる土壌炭素の増加を意味するとは限りません。子実収量と地下部への炭素配分との両立、栽培管理による炭素損失、土壌や気候の違いを考慮する必要があります。今後は長期圃場試験による炭素貯留の検証と、農家が利用しやすい測定・評価手法の開発を進めることで、食料生産と気候変動対策を両立する乾燥地農業への貢献が期待されます。



図1 ソルガムを用いた炭素貯留最適化の概念図。地上部での炭素固定、根系を通じた地下部への炭素配分、土壌中での炭素安定化を統合し、収量と土壌炭素貯留の両立を目指す考え方を示しています(Ahmed et al., 2026, Plants, People, Planet, Fig. 1から引用)。