乾燥地研究センターの砂丘圃場で地中レーダーを用いたサツマイモの地下収量を非破壊で推定する技術を開発
- 2026/07/21
- 研究成果
Rapid Detection and Quantification of Sweet Potato Storage Roots Using Ground Penetrating Radar
Mika Tei, Jiaqi Liu, Christopher Gomez, Takayoshi Ishii, Yusaku Uga
Journal: Plant Phenomics
サツマイモは世界的に重要な食料作物であり、乾燥ややせた土壌でも安定して栽培できることから、食料安全保障への貢献が期待されています。しかし、収穫物である塊根(イモ)は土の中で成長するため、生育途中に収量を把握するには掘り起こす必要があり、育種や栽培管理の大きな課題となっていました。
本研究では、地中レーダー(Ground Penetrating Radar: GPR)を利用し、サツマイモを掘り起こすことなく地下の塊根を検出し、収量を推定する非破壊計測技術を開発しました。まず、電磁波シミュレーションによって塊根の大きさとレーダー反射信号との関係を明らかにし、その結果を実際の圃場試験で検証しました。さらに、画像解析技術を組み合わせることで、地下の塊根を半自動的に検出する画像処理手法を構築しました。
鳥取大学乾燥地研究センターの砂丘圃場において栽培したサツマイモを対象に実証試験を行った結果、レーダー信号から地下塊根の生育状況を経時的に把握できることを確認しました。また、レーダー画像から抽出した信号強度を用いて塊根重量を推定したところ、決定係数 R² = 0.567の精度で収量予測が可能であることを示しました。さらに、個々の塊根の長さとレーダー信号との間には相関係数 r = 0.86という高い相関が認められ、地下部バイオマスを非破壊で評価できる可能性が示されました。
本研究は、サツマイモを掘り起こさずに収量を評価できる実用的な技術として、育種における選抜効率の向上や精密農業への応用が期待されます。また、本手法はサツマイモだけでなく、ジャガイモやキャッサバなど他の塊根・塊茎作物への展開も期待され、乾燥地農業における省力的な地下部フェノタイピング技術として活用される可能性があります(図1)。

図1 地中レーダー(GPR)によるサツマイモ地下塊根の非破壊計測の概要。地中レーダー画像から塊根を検出し、画像解析により地下収量を推定することが可能となりました(Tei et al., 2026)。

