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乾燥地作物のササゲの品種改良の基盤となる胚珠培養技術を開発しました。

A perforated ovule culture system improves nutrient accessibility and accelerates embryo development in cowpea (Vigna unguiculata (L.) Walp.)
Ngozi Paulinus Ofem and Takayoshi Ishii

Journal: Plant Cell, Tissue and Organ Culture

ササゲ(Vigna unguiculata)は重要な乾燥地の食用作物ですが、害虫や病害による被害が大きく、改良が求められています。野生種には有用な抵抗性遺伝子が存在するものの、種間交雑では受精後の障害により胚が発達せず、育種の妨げとなっています。本研究では、胚珠培養と胚珠穿孔処理を組み合わせた手法を開発・最適化しました。複数の品種、培地条件、培養形態(液体・固体)、胚珠の処理方法、採取時期を比較した結果、これらすべてが胚の発芽や植物再生に大きく影響することが明らかになりました。特に、発生段階が進んだ胚(5~8日後)で高い再生率が得られ、固体培地が有効でした。また、胚珠穿孔処理は胚発生を促進し、再生効率を2~4倍に向上させ、休眠状態の胚の発育も改善しました。その結果、最大で60~87%の高い再生率が得られました。本研究で確立された手法は、ササゲにおける種間交雑由来の胚珠培養の基盤技術であり、多様な遺伝資源を活用した育種の発展に貢献することが期待されます(図1)。


図1 胚珠培養によるササゲ未熟胚からの植物体再生の様子(Ofem N.P and Ishii T., 2026)


未熟種子に微細な穴を形成する技術を用いることで、受精後3日目の未熟種子からササゲ3系統において植物体までの生育が可能であることを確認しました。今後は、本技術を遠縁種との交雑に応用し、ササゲの遺伝資源の拡大を図る予定です。