メイズトライアングルにおける収量と施肥量の共和分関係から育種技術革新の重要性を明らかにしました。
- 2025/08/29
- 研究成果
Climate risk adaptation in dryland maize through cultivar adoption
Mitsuru Tsubo and Mokhele Moeletsi
Journal: npj Sustainable Agriculture
干ばつリスクが高い地域における気候変動に対する作物の収量応答を理解するには、肥料投入に加えて、品種導入の効果を考察することが重要です。そこで本論文では、南アフリカにおけるトウモロコシの収量向上と施肥量増加の関係について共和分検定を行い、一代交配(F1)と遺伝子組換え(GM)のブレイクスルー育種技術によってもたらされた過去100年のトレンド変化を明らかにしました。
今後数十年で、南アフリカのトウモロコシ生産地域では、気候の乾燥化が進行すると予測されています。将来の気候条件下では、目標収量を達成するために必要な施肥量に関する農家の意思決定が、増大する干ばつリスクによって一層困難になると考えられます。そのため、干ばつストレスに対応可能な新たな育種技術による品種改良の必要性が、今後さらに高まると予想されます。

図:南アフリカのメイズトライアングルにおける大規模農地(写真提供:Dr. Johan Malherbe)