Tottori University

ホーム > ニュースリリース > 南アフリカにおける農業干ばつ災害政策の有効性評価

南アフリカにおける農業干ばつ災害政策の有効性評価

Assessing the effectiveness of drought disaster policies in South Africa: A focus on implementation in the agricultural sector
Teboho E. Masupha, Mokhele E. Moeletsi and Mitsuru Tsubo

Journal: International Journal of Disaster Risk Reduction

本研究は、南アフリカにおける干ばつ災害政策の有効性を、特に農業分野での実施状況に焦点を当てて評価しました。
国および州レベルの関係者に対して半構造化インタビューを実施し、得られたデータを主題ごとに分析しました。その結果、国家レベルの政策は国際的枠組みに整合している一方で、州によって実施状況に大きなばらつきがあることが明らかになりました。参加した7州のうち5州では、農業に特化した干ばつ対策計画がなく、一般的な災害対応枠組みに依存していました。国家では資金供給や遵守状況の監視が中心であるのに対し、州では農家支援、リスク評価、啓発活動が主に行われていました。
しかし、多くの関係者が、こうした政策の有効性に対して不確実性を示しています。主な課題には、資源配分の不均衡、汎用的な早期警報、政府支援への依存、現地調査の手作業による記録、そして古い計画の継続使用などが挙げられます。これらの課題を解決するには、協調的な支援体制、強制力のある遵守メカニズム、デジタル基盤への投資、そして地域の実情に応じた柔軟な政策運営が求められます。

図:干ばつの影響が見られる南アフリカの農地