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地中海から中央アフリカの乾燥地起源のギンセンカ(Hibiscus trionum)のゲノムを解読し、花弁に構造色に関わる遺伝子を特定しました。

Genome and transcriptome analyses reveal genes involved in the formation of fine ridges on petal epidermal cells in Hibiscus trionum
Shizuka Koshimizu, Sachiko Masuda, Arisa Shibata, Takayoshi Ishii, Ken Shirasu, Atsushi Hoshino, Masanori Arita

Journal: DNA Research, dsad019, 2023

  ギンセンカ(Hibiscus trionum)はアオイ科の植物で、地中海から中央アフリカを起源とする乾燥地由来の植物です。有名なアオイ科の植物にはオクラなどがあげられます。また、このギンセンカは花弁に構造色を持つ植物の一つでもあります。ギンセンカの花は、中心部が紫色、外側が薄い黄色を示します。紫色はアントシアニンの色素由来ですが、紫色を示す花弁の表皮細胞には微細な凹凸構造が存在するため、構造色も発色しています。構造色とは物質表面の微細な構造により発色する色を言い、昆虫や鳥類など様々な生物で観察されています。構造色は植物の花弁にも見られ、昆虫の誘引に寄与すると言われています。写真では分かりづらいですが、角度を変えると色が変化して見えます。本研究では、ギンセンカのゲノム解析やトランスクリプトーム解析を行い、構造色の発色に必要な微細構造の形成に関わる因子の絞り込みに成功しました。

図1 ギンセンカの花弁には構造色が見える。
これらの構造色を作り出す遺伝子を遺伝子発現を網羅的に見る手法により推定した。