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塩害におけるホウレンソウの根の伸長に及ぼすペクチンの影響が明らかにしました

Pectin Characteristics Affect Root Growth in Spinach under Salinity
Jia Li, Victoria Otie, Asana Matsuura, Kashiwagi Junichi, Muhammad Irshad, Yuanrun Zheng, Haruyuki Fujimaki, Ping An
塩害におけるホウレンソウの根の伸長に及ぼすペクチン特性の影響
Journal: Plants

植物の塩ストレス耐性における根の細胞壁の役割を理解するためには,細胞壁のペクチン組成およびその変化を解明することが重要である。塩感受性の高い2品種(Helan 3およびPrius β)と塩耐性の高い1品種(R7)のホウレンソウを用いて,塩ストレス下の根伸長域におけるペクチン多糖類,ペクチンのメチルエステル化度,HG:RG-I比,中性側鎖(ガラクタン/アラビナン)および弾性・粘性パラメータなどの特性を調査した。塩ストレスは,すべての品種において細胞壁の伸展性を有意に低下させた。細胞壁粘性は,ウロン酸のモル比およびペクチンの特性(HG:RG-I比)により,ペクチンの影響を受 けることがわかった。ペクチン中のウロン酸のモル割合は,品種の耐塩性と関係なく,中性側鎖の長さとペクチンメチルエステル化の程度は耐塩性品種で有意に減少し。ペクチンの脱メチル化は,根の生育を促進させ,耐塩性を高める可能性があることがわかった。本研究により,細胞壁ペクチンが塩ストレス下におけるホウレンソウの根の成長を制御する上で重要な役割を果たしていることが明らかとなった。

0および200 mM NaCl処理におけるホウレンソウ品種Helan 3, Prius βおよびR7の根伸長域での根細胞壁の弾性率(E0)および粘性係数(ηN)の変化。