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日本の黄砂観測日数が黄砂発生源の土地被覆と関連性があることを明らかにしました。

Interannual changes of land surface conditions in Asian dust source regions since 2000
Reiji Kimura
2000年以降の黄砂発生源における地表面状態の年々変化

Journal : Journal of Agricultural Meteorology

中国やモンゴルの乾燥地は、一般的に黄砂の発生源として認識されています。しかし、黄砂の発生は現地の気象条件や地表面状態に左右され、特に発生源における地表面状態が日本の黄砂観測日数とどのように関連しているのか、正確な情報が不足していました。本研究では、2000年以降の黄砂が発生する春季(3月~5月)を対象に、地表面状態(北緯35度~50度、東経100度~120度の範囲)の年々変化を衛星データによって調べました。風の流跡線解析の結果、福岡で観測された黄砂現象のほとんどが、この領域を通過する3つのルートをたどっていることが示されました。また、日本の黄砂観測日数は2000年以降減少傾向にあり、対象領域内における裸地面(または植生面)の面積と強い相関を示しました。実際、中国の黄土高原や内モンゴルでは、裸地面積(植生地面積)の減少(増加)が認められます。本研究では、対象エリア内における裸地面積を使った日本の黄砂観測日数を再現する統計モデルも示してあり、裸地面積から春季の黄砂観測日数を前もって見積もることも可能になります。

2000年以降の日本の黄砂観測日数(ADE)と対象エリア内における裸地面積(Area)の年々変化。
共に減少傾向にあり、両者の相関性は高い(r = 0.74、p < 0.001)。

2001年と2020年の対象エリア内における地表面被覆の分布。
赤枠で囲った地域で裸地面積の減少が認められる。
Utは黄砂発生の臨界風速(例えば黄色で示した裸地では10m/s未満の風で黄砂が発生することを意味する)。