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海岸砂丘における土壌由来の二酸化炭素排出に関する変動特性を明らかにしました。

Abiotic and biotic factors controlling the dynamics of soil respiration in a coastal dune ecosystem in western Japan
Munemasa Teramoto, Toru Hamamoto, Naishen Liang, Takeshi Taniguchi, Takehiko Y. Ito, Richa Hu, Norikazu Yamanaka
(西日本の海岸砂丘生態系における土壌呼吸の変動に関する非生物的および生物的要因)

Journal: Scientific Reports

 全陸域の土壌からは、多量の二酸化炭素が排出されています(土壌呼吸)。これまで多くの生態系(森林、草原、農地等)で土壌呼吸の観測研究が実施されてきましたが、海岸砂丘における研究例は非常に限られていました。本研究では、海岸砂丘(鳥取大学乾燥地研究センター敷地内)における植生状況が異なる複数の場所(測定区)で土壌呼吸を定期的に観測し、その時空間変動に関する要因を明らかにすることを試みました。その結果、他の生態系と同様に、土壌呼吸の季節変動は主に温度に支配されるものの、夏の乾燥ストレスに対する応答(乾燥ストレスによって土壌呼吸が減少する程度)は測定区ごとに異なること、土壌呼吸の空間変動には植物の地下部バイオマスの分布およびその呼吸が強く影響することが明らかになりました。本研究結果は、陸域生態系における土壌呼吸の変動メカニズムの解明に貢献するものと考えられます。


2020年の海岸砂丘における環境データ(a)、土壌呼吸データ(b)と、各測定区の植生状況を示す写真(右)。(a)および(b)におけるピンク色の帯は、土壌水分が閾値(3.9%)未満まで減少した夏季の乾燥期間を示す