各種植物|乾燥地植物資源バンク室

イナゴマメ

科名:　マメ科ジャケツイバラ亜科
和名:　イナゴマメ　（ヨハンパンノキ）
英名:　carob tree, algarroba bean, locust bean, St. John's bread
学名:　Ceratonia siliqua
原産地:　中東

植物の説明: 樹高12-17m、幹回り1m以下の常緑高木。葉は互生し、小葉は2～3対の羽状複葉。葉の表側には気孔がない。マメ科には珍しく、多くが雌雄異株で、稀に両性花の系統もある。豆果はやや扁平で長さ10-30cm、革質で裂開しない。熟すと暗褐色になる。発芽後、開花・結実するまで3-8年かかる。隔年結実する。深根性で、アーバスキュラー菌根菌は付くが、根粒菌は付かない。大気汚染に強く、低栄養土壌でも育ち、耐暑性、耐乾性、耐寒性（-4℃以上で生育可能）、耐塩性を有するが、耐湿性は弱い。地中海沿岸地域の年間降水量250mm以上の地域で広く栽培されているが、年間降水量350mm以下では結実には灌漑が必要となる。増殖は種子、挿木、接木により行う。
古代エジプト時代から、豆果は飲料（ジュース、お酒）や飼料として、また幹は木材として利用されてきた。果肉はチョコレートやコーヒーの代用品として利用されている。種子から採れるゴムは、キャロッブ・シロップや増粘剤、安定剤、結合剤、ゲル化剤、分散剤として、食用および工業用に使用されている。種子重は、宝石類の量目を測る単位（カラット）のもととなった。
　
利用部位：
果肉（食用、飲料用、薬用、飼料）、種子（食用、薬用、化粧品用、フィルム感光乳剤、絵具、研磨剤、接着剤）、種皮（タンニン）、葉（飼料）、幹・枝（薪炭材、木材：調理道具）

参考文献
Batlle, I. and J. Tous. 1997. Carob tree. Ceratonia siliqua L. Promoting the conservation and use of underutilized and neglected crops. 17. Institute of Plant Genetics and Crop Plant Research, Gatersleben/International Plant Genetic Resources Institute, Rome, Italy. (http://www.bioversityinternational.org/uploads/tx_news/Carob_tree_Ceratonia_siliqua_L._347.pdf)
Coppen, J.J.W. 1995. Gum, resins and latexes of plant origin: Non-wood forest products 6. Food and Agriculture Organization of the United Nations. Rome, Italy. 142 pp. (http://www.fao.org/docrep/v9236e/V9236e00.htm)
金川利夫．1994．ケラトニア属．塚本洋太郎（監修）．園芸植物大事典　1．pp. 828. 小学館、東京．

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