
乾燥地植物にはどのようなものがあるのでしょう?
項目ごとに写真と一緒に説明をしていきます
①生物の命名法と分類

- 学名〜世界共通の生物の名前〜
- 生物の名前(呼び方)は国は地域で違います。例えば、イネは稲(中国語)、벼(韓国語)、rice(英語)、Reis(ドイツ語)、riz(フランス語)、arroz(スペイン語)、أرز(アラビア語)、אורז(ヘブライ語)、padi(インドネシア語)などです。
生物の名前を混同しないように、1753年にはカール・フォン・リンネ博士(1707-1778)は生物を体系づけ、生物の種の名前(学名)、を属名と種小名で表す2名法を提唱しました。学名にはラテン語あるいはラテン語化した言葉が使われています。
- 生物の分類
- 生物を疑似点と相違点の程度によって仲間分けすることを分類と言います。分類の基本は種ですが、地球上に生息する生物は学名がつけられているものだけでも約175万種程度もあります。そこで、いくつかの種をまとめてひとつの仲間とした属や、さらに属をまとめた科などの段階をつけて仲間分けされています。大きな分類階級から順に、ドメイン、界、門、綱、目、科、属、種、となっています。イネの場合は、次のように分類されています。
真核生物(ドメイン)、植物界、被子植物門、単子葉植物綱、イネ目、タケ亜科、イネ属、イネ(種)
- 作物の分類
- 栽培されている植物のことを作物といいます。世界の主な作物を科ごとに分類してみましょう!
イネ科の作物
イネ、トウモロコシ、パンコムギ、マカロニコムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、エンバク、モロコシ、キビ、アワ、ヒエ、シコクビエ、トウジンビエ、ハトムギ、テフ、フォニオ、コドラ、アメリカマコモ、サトウキビ、タケなど
マメ科の作物
ダイズ、アズキ、リョクトウ、ササゲ、インゲンマメ、ライマメ、ベニバナインゲン、ケツルアズキ、モスビーン、テバリービーン、タケアズキ、ラッカセイ、エンドウマメ、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメ、フジマメ、ホースグラム、バンバラマメ、ゼオカルバマメ、キマメ、ナタマメ、タチナタマメ、グラズビー、グアル(クラスタマメ)、シカクマメ、ハッショウマメ、イナゴマメ、ルビナス、タマリンドなど
シソ科の作物
シソ、バジル、タイム、セージ、ローズマリー、ミント、レモンバーム、オレガノ、スイートマジョラム、ラベンダー、チャービルなど
アオイ科の作物
オクラ、ワタ、トロロアオイ、ローゼル(ハイビスカス)など
セリ科の作物
ニンジン、セロリ、セリ、ミツバ、パセリ、クミン、コリアンダー、ディル、フェンネル、キャラウェイ、アニス、アンゼリカなど
②作物の花
- 被子植物の花の構造
- 一般的な被子植物の花は下図のようになっています。

- 作物の花
- 乾燥地でよく栽培されている作物や果物などの花の写真です。何の作物かわかるかな?
③ムギってなに??
- 実は多い"ムギ"のなかま
- 私たちはよく"ムギ"と言いますが、ムギにはイネ科の様々な属に属する種が含まれています。コムギ属の種やオオムギ、ライムギ、エンバクなどは西アジアの乾燥地原産です。
下の図は、世界で栽培されている主なムギと種子の利用方法です。太字は、日本でも栽培されているムギのなかまです。

ムギの紹介と種子の利用方法
コムギ属 |
パンコムギ |
パン、うどん、ラーメン、餃子の皮、ピザ、ケーキ、クッキー、麺、味噌、しょう油、ビール、飼料など |
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マカロニコムギ |
マカロニ、スパゲッティ、パン、ピザ、麦飯(シリアなど)、飼料など |
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エンマーコムギ |
パン、スープの具、ビールなど |
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リペットコムギ |
ビスケットなど |
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クラブコムギ |
ケーキ、クッキー、菓子など |
オオムギ属 |
オオムギ |
ビール、焼酎、ウイスキー、麦飯、麦茶、味噌、しょう油、水飴、パン(北アフリカなど)、飼料など |
ライムギ属 |
ライムギ |
パン、ビスケット、ビール、ウイスキー、ウォッカ、飼料など |
カラスムギ属 |
エンバク |
オートミール、ビスケット、ウイスキー、飼料など |
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アカエンバク |
パンなど |
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ハダカエンバク |
オートミール、ビスケット、ポリッジなど |
ジュズダマ属 |
ハトムギ |
ハトムギ茶など |
- 強力粉、中力粉、薄力粉の違いってなに?
- これらは全てパンコムギの種子の粉です。種子に含まれるタンパク質(主に、グリアジンとグルテニン)に水を加えてこねると、粘りと弾力性のあるタンパク質(グルテン)ができます。種子に含まれるタンパク質の量と性質により、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉などに分けています。 強力粉はグルテンも多くねばりが強いため、パンを作るときにイースト菌から発生する炭酸ガスを逃さないので、よくふくれたパンが焼けます。

- ムギって秋にまくもの?春にまくもの?
- ムギのなかまには、花器の形成に冬の寒さを必要とする秋まき性の品種があります。秋まき性品種を春にまくと、いつまでたっても穂がでません。一方、春まき性品種は、春にまいても開花し、種子をつけます。
エジプトやスーダンなどの冬のない暑い国では、春まき性品種を栽培しています。
- ムギのなかまの穂
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- パンコムギ
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- パンコムギ
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- マカロニコムギ
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- オオムギ
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- オオムギ
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- ライムギ
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- エンバク