Tottori University

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モンゴル・ゴビ砂漠の灌木⽣態系におけるCO2交換を4年間にわたって測定しました。

Variables controlling growing season carbon dynamics in desert shrub ecosystem
Levent Şaylan, Reiji Kimura, Eyyup Ensar Başakin, Yasunori Kurosaki

Journal: Theoretical and Applied Climatology

 極端な環境条件下にある乾燥地は、陸地面積の約41%をも占めています。乾燥地⽣態系における熱やCO2の時間的および空間的変動を明らかにすることは、乾燥地が気候変動(例えば温暖化)に対してどのような影響を与えているのかを知る上で重要です。
 本研究では、これまで明らかにされていなかったモンゴル・ゴビ砂漠の灌木⽣態系におけるCO2交換を渦相関法により4年間にわたって測定しました。その結果、⽣育期を通じたトータルのCO2交換量は、年によって79.7~-110.4 gC m−2(+はCO2の大気への放出、-は地表面への吸収)の範囲で大きく変化しました。乾季の年にはCO2の放出、雨季の年にはCO2の吸収が顕著であり、特に、⽣育期以前に降った雨や前年から持ち越された比較的豊富な土壌水分は、生育期における炭素隔離(CO2の吸収)に有意な影響を与えていることが示唆されました。生育期間におけるCO2交換量と植⽣量、反射率、⼟壌⽔分、気温、顕熱フラックスとの間に高い相関があったことから、年による環境条件の違いがCO2交換量に影響を与えていることが示唆されました。 


2014年、2015年、2018年、2019年における日CO2伝達量の季節変化。
黒線はCO2交換量(NEE)、赤線は呼吸量(Reco)、青線は総一次生産量(GPP)。
GPP=Reco-NEEです。


モンゴルのTsogt-Ovooに設置された渦相関計測システム
(超音波風速計とCO2/H2O濃度計測器の組み合わせによる)