著 書

「黄砂 健康・生活環境への影響と対策」





  世界の乾燥地は陸地面積の約41%を占め、世界人口の3分の1にあたる人々が暮らしています。そこには、砂漠化や干ばつなど、人類共通の課題として解決すべき課題が存在しています。日本は、雨の多い国ですが、乾燥地で生じている様々な問題と無関係ではありません。国境を越えて、乾燥地から日本にやってくる黄砂もその一つです。
黄砂は、自然現象として昔から知られており、春の風物詩ともなっていますが、近年、日本でも黄砂の観測回数が増加傾向にあり、PM2.5の問題とあいまって、人や環境への影響が問題視されるようになってきました。黄砂の発生には発生域である乾燥地の砂漠化や干ばつなどが大きくかかわっています。発生域と影響を受ける風下地域の両面から、総合的かつ国際的な取り組みが求められています。
 鳥取大学では、この黄砂問題に取り組むため、2011年度から文部科学省の支援のもと「東アジア砂漠化地域における黄砂発生源対策と人間・環境への影響評価(通称:黄砂プロジェクト)」をスタートさせました。これは乾燥地研究センターを中心とした学部の壁を越えた、総合的、学際的なプロジェクトです。砂丘や乾燥地に関する長い研究経験をもつ鳥取大学だからこそ実現できたプロジェクトだと自負しております。
今回、黄砂プロジェクトの成果として、「黄砂-健康・生活環境への影響と対策」を丸善出版より刊行いたしました。本書には、黄砂に関して今まで蓄積されてきた知見に加え、我々の研究プロジェクトにより得られた新たな成果が多く盛り込まれています。
黄砂という視点から,乾燥地で生じている問題と,我々の健康や生活環境の関係についてご理解いただければ幸いです。