WASH_1D/2Dモデルを用いた水の費用を考慮した灌漑水量および除塩用水量の最適化


Optimization of Irrigation and Leaching Depths Considering the Cost of Water Using WASH_1D/2D Models
(WASH_1D/2Dモデルを用いた水の費用を考慮した灌漑水量および除塩用水量の最適化)



藤巻教授、Hassan Mohamed研究員らの論文がWaterに掲載されました。

灌漑水に含まれる塩類が集積するのを防ぐために、定期的に大量の水をかけて塩を洗い落とす「リーチング」が広く行われていますが、 いつ、どのくらいの水でリーチングすればよいかという技術的指針はまだ確立されていません。藤巻教授らは 土壌中の2次元的水分移動と作物成長の数値モデルWASH_2Dを用いて純収入を最大化するように天気予報を考慮しながら灌水量を決定する新しい方法(潅水量最適化法)を提示してきましたが、 それが塩類集積による大幅な減収を防ぐ上でも有効であるかどうか、あるいは、毎回の潅水において、蒸発散量に除塩用水量を上乗せするのではなく、 生育期間の中盤に一度だけまとめてリーチングするのがよいのかをスーダン北部での小麦栽培を想定した数値実験で検討しました。 生育期間の中盤に一度だけまとめてリーチングする際に、水の費用を考慮して純収入を最大化するように除塩用水量を最適化する方法(除塩用水量最適化法)を提示し、潅水量最適化法による純収入と比較しました。 その結果、潅水量最適化法が除塩用水量最適化法よりも若干高い純収入を与え、潅水量最適化法が灌漑用水の塩分濃度が高い環境においても有効であり、持続的農業に資することが明らかとなりました。