衛星データを用いて北東アジアの草原における消費土壌水分量や生長量を算定する手法を提示しました。




Use of a Satellite-Based Aridity Index to Monitor Decreased Soil Water Content and Grass Growth in Grasslands of North-East Asia(北東アジアの草原における消費土壌水分量や生長量をモニタリングするためのSatellite-Based Aridity Indexの利用)
掲載誌:Remote Sensing
https://www.mdpi.com/2072-4292/12/21/3556



近年、北東アジア(モンゴルや中国北部)における草原は、不安定な降水量に大きく左右されており、干ばつの頻度が増しています。草原が裸地化することによる土地の劣化も懸念され、黄砂の発生を促進する原因にもなっています。この地域の生業のほとんどが草原を利用する牧畜業であるため、草原を持続的に管理していくためには、消費水量や生長量との関係を継続的に把握することが重要です。木村准教授と長崎大学の森山准教授は、衛星によって算定される熱慣性(地表面の熱伝導率と熱容量の積)に関する指標を日々積算することで、積算値が消費土壌水分量や生長量と相関することを実証し、北東アジア全域にまで面的に応用することを試みました。その結果、積算値の分布は降水量やNDVIの分布とよく対応しており、本指標が草原の管理に役立てられる可能性が示唆されました。

 
図:指標が消費土壌水分量や生長量と関連する概念