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乾燥地かんそうちで生きている動植物どうしょくぶつって
どんなものがいるの?

乾燥地かんそうちにいる動植物どうしょくぶつは、いろいろな工夫をして
生きているんだ

砂漠さばくは雨が降らず、すごく乾燥かんそうした世界です。そこで生きるためには様々な工夫が必要です。砂漠さばくの生物は乾燥かんそうに耐えて生きるために色々な工夫をこらしています。

乾燥地かんそうちの動物

乾燥地かんそうちの植物



ラクダ

ラクダ

アフリカのヒトコブラクダ(チュニジア)
(撮影:山中典和)

ラクダは砂漠さばくの生活には欠かせません。砂漠さばくの人々はラクダに乗って各地を移動します。その間、ラクダはほとんど水を飲まず、砂漠さばくに少し生えている草を食べて生活します。ラクダが何日も水を飲まずに砂漠さばくで生活ができる秘密はコブにあります。ラクダのコブは脂肪しぼうのかたまりです。ラクダはコブの中の脂肪しぼうを水に変えて乾燥地かんそうちで生きているのです。ちなみにヒトコブラクダはアフリカ、フタコブラクダはアジアで見られます。

スーダンのヒトコブラクダの映像(撮影:山中典和)

ラクダ

モンゴルのフタコブラクダ(撮影:山中典和)

ラクダ

中央アジアにはヒトコブラクダもフタコブラクダもいます。フタコブのこぶはちょっと微妙(ウズベキスタン)

(撮影:山中典和)

オグロヌー

木がまばらに生える熱帯の草原をサバンナとよびます。サバンナでは乾季と雨季がはっきりしています。サバンナには、季節の変化にあわせて長い距離を移動する動物がいます。とくに東アフリカにすむヌーの大移動は有名です。数10万頭の群れでケニアとタンザニアを毎年行き来します。
オグロヌー

オグロヌー(タンザニア、撮影:伊藤健彦)

キリン

首が長く背の高いキリンは、ほかの大型動物には手のとどかない、サバンナにはえるまばらな木の葉を独占的に食べることができます。アカシカのかたいトゲも気にしません。
キリン

キリン(タンザニア、撮影:伊藤健彦)

ゲムズボック(オリックス)

アフリカ南部に生息するゲムズボック(オリックス)は乾燥かんそうによく適応していて、体温が45度になるまであえいだり汗をかいたりしないそうです。尿や糞の濃縮能力にすぐれています。
ゲムズボック

ゲムズボック(南アフリカ、撮影:伊藤健彦)

モウコガゼル

アジアにも大移動をする動物がいます。モンゴルを中心に生息するモウコガゼルもそのひとつです。直線距離で400km以上も移動する例が観察されています。
モウコガゼル

モウコガゼル(モンゴル、撮影:伊藤健彦)

サイガ

中央アジアやモンゴルの砂漠さばくや草原は、夏には40度を超えますが、冬にはマイナス30度以下になり雪もふります。カザフスタンを中心に生息するサイガの大きな鼻は、暑いときには脳を冷やすのに、寒いときには冷たい空気を暖めてから肺に送るのに役にたつといわれています。
サイガ

サイガ(カザフスタン、撮影:伊藤健彦)

オオスナネズミ

小型の動物は温まりやすく冷めやすいので、暑さ・寒さがきびしい地域で生きぬくためには体温調節が重要です。オオスナネズミはいくつもの部屋がつながった大きな巣穴をつくり、巣穴を出入りして体温を調節します。
オオスナネズミ

オオスナネズミ(カザフスタン、撮影:伊藤健彦)

オオスナネズミ(動画)(撮影:伊藤健彦)

アメリカバイソン

北アメリカの草原にはかつて6000万頭ものバイソンが暮らしていました。しかし、毛皮や狩猟の楽しみのため、人間が大量に殺したため、一時、絶滅寸前にまで減ってしまいました。現在、数十万頭にまで回復しましたが、もともとの生息地の多くは畑や牧場に変わってしまいました。
アメリカバイソン

アメリカバイソン(アメリカ合衆国、撮影:伊藤健彦)

カンガルー

大部分が乾燥地かんそうちであるオーストラリアは、長い間ほかの大陸と陸続きになりませんでした。そのため独自に進化した動物がみられます。多くの哺乳類はおなかに袋がある有袋類です。カンガルーもおなかの袋で子育てをします。
クロカンガルー

クロカンガルー(オーストラリア、撮影:伊藤健彦)

サボテン

ラクダ

アリドドーム内の
ウチワサボテン

アメリカの砂漠さばくに生えています。映画やテレビで見た人も多いと思いますが、アメリカの砂漠さばくを代表する植物です。乾燥かんそうに耐えるしくみの一つはサボテンのトゲにあります。サボテンのトゲは葉が変化したものです。植物はふつう葉で呼吸して、光合成をしています。でも日本の植物のように葉が大きかったら、呼吸をするときに葉っぱの表面からたくさんの水分が失われて乾いてしまいます。サボテンは葉をトゲにして小さくし、茎で呼吸することによって、水が失われるのを防いでいるのです。また、サボテンは太陽の照りつける乾燥かんそうした昼間はなるべく息をしないようにして、夜に盛んに呼吸します。これも水を失わないためのやり方です。またサボテンの茎の中にはたっぷりと水が蓄えられています。
サボテン

アメリカ・アリゾナ州の柱サボテン(サガロサボテン)
(撮影:山中典和)

サボテン

アメリカ・アリゾナ州の柱サボテン(サガロサボテン)
(撮影:山中典和)

サボテン

アメリカ・アリゾナ州のウチワサボテン(撮影:山中典和)

サボテン

とても危険なサボテンのトゲ、決してはだしで歩いてはいけない(アメリカ・アリゾナ州)。

(撮影:山中典和)

エアプラント

エアプラントとは、主に岩や木などに体を固定するための着生根ちゃくせいこんがあるだけで、ふつうの植物のように水や養分を吸う根を持っていない植物です。このため「空中植物」という意味で「エアプラント」と呼ばれています。生育する場所は中央アメリカ、中南米を中心に砂漠さばく地帯から熱帯雨林まで幅広く分布しています。エアプラントにもいろいろな種類がありますが、砂漠さばくのような大変乾燥かんそうした地域で生きている種類もいます。
エアプラントの養分や水の吸収はふつうの植物のように根っこからではなく葉から行われます。エアプラントの葉の表面にはエアプラントの特徴とくちょうである銀色のうぶ毛が見えます。これは「トリコーム」と呼ばれ、土に水分がほとんどないような所でも夜露や霧、雨などから水分を効率よくとらえて生きていくために発達したエアプラント独自の工夫です。このため、このようなトリコームは乾燥かんそうした地域に住む種類には良く発達していますが、雨が多かったり、湿度の高い地域の種類にはあまり見られません。
サボテン

木の上に生えるエアプラント(ブラジル)(撮影:山中典和)

ソルガム

アフリカ原産の穀物でもっとも重要で、北アフリカやインドの乾燥地かんそうちに住む人々の主食です。ひどい干ばつや暑さに耐えるため、とくに乾燥地域かんそうちいきに適しています。トウモロコシに似たイネ科の植物で、世界に2000以上の品種があるといわれています。種類によって家畜の飼料、バイオエタノールの原料としても使用されています。食材としては、粥やクスクスにしたり、チャパティなどの酵母の入っていないパンを作って食べています。また中国では蒸留して茅台酒に、アフリカでは醸造してビールにします。
私たちにはあまりなじみがない気がしますが、日本には平安時代ごろに渡来したと言われており「高黍(たかきび)」と呼ばれています。お団子の材料として使われていたそうです。最近では、ホワイトソルガムが小麦アレルギーの人向けのコムギ代用食材として使われています。
ソルガム

ソルガムの栽培風景(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

ソルガムの穂

ソルガムの穂(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

ボホベ

ソルガム粉をお湯に入れてこねたボホベ(ボツワナ料理)
(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

ナツメヤシ

アリドドームで目立つ木がナツメヤシです。乾燥地かんそうちでは樹高30m以上の高さになる雌雄異株の常緑樹です。幹のてっぺんからとても大きな3~5mほどの葉が出ます。
名前の由来は、ギリシア語で「指」を意味する「daktulos」で、果実の形からきています。果実の長さは約5㎝で、ソフト、セミドライ、ドライの3タイプがあります。
環境ストレス(乾燥かんそう、塩、高温、強光)に強い植物で、気温が-5~50度の範囲で栽培できます。昔から栽培されていて、アグロフォレストリーに利用され、ナツメヤシの下で強い日差しを避けて野菜や穀類が栽培されてきました。果実(デーツ)は糖度が高く、ミネラル(カリウム、カルシウム、鉄)も豊富に含みます。干しデーツは糖度が70%以上です。日本ではお好み焼のソースの原料等として使用されていますが、中東では料理やお菓子に使われていて、デーツケーキやデーツパン、デーツプディングなどもあります。ワインにするところもあるそうです。葉を利用してバスケットを作ったり、屋根の材料にしたり、幹の部分は家の材料にしたりと現地では大変有用な植物です。
ナツメヤシ

アリドドームのナツメヤシ
(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

ジャトロファ

日本名をナンヨウアブラギリと呼ぶ植物で、名前の通り、種子に油分を多く含むので、バイオディーゼルとして利用することが期待されています。
種子に毒を含むため家畜に食べられることがなく、乾燥かんそうした地域で栽培できるので、牧柵として使われたり、普通の作物が育たないような荒れ地でも育てることができます。
ジャトロファ

牧柵として使われるジャトロファ(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

ジャトロファの果実

ジャトロファの果実(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

アラビアゴムノキ

この木の樹皮を傷つけて出てきた分泌物を乾燥かんそうさせたものを「アラビアゴム」と呼びます。アラビアゴムは、乳化剤や安定剤として食品に広く使われていて、アイスクリームなどに入っています。また絵具やインクなどの工業製品、切手の糊などにも使われています。ゴムだけではなく、種子は食用にしたり、種子油で石鹸を作ったりもできます。
この木は気温が45℃以上になる高温な地域で生育が可能で、乾燥かんそうにも強く、年間降水量100~950mmの地域で栽培されています。砂嵐や乾燥かんそうした風にも強い植物です。
アラビアゴムノキ

アリドドームのアラビアゴムノキ(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

アラビアゴム

アラビアゴム(撮影:乾燥地かんそうち植物資源バンク室)

バオバブ

天地創造のときに神が上下を間違えて植えた樹との伝説があるバオバブは、太い幹を持つ、不思議な形をしています。サン・テグジュペリの「星の王子さま」でも有名で、世界で最も巨大で樹齢の長い植物のひとつです。5000年以上生きたものもあります。乾燥かんそうに強く、年間降水量90~1500mmの範囲で生息しています。バオバブの幹には堅い材がなく、貯水性のある繊維質の柔らかい組織でできています。 現地では、乾燥かんそうした場所で育つことから、精霊が宿る木として昔から信仰されてきた植物です。
ほんのりと甘酸っぱい果実の中身はおやつ代わりになり、水でとけば清涼飲料になります。種子からは油が取れます。アフリカでは若い葉が野菜代わりにされて、マダガスカルの一地方でははぎ取った樹皮を家の屋根や壁に用い、その繊維でロープを作ります。さらに、生きた木をそのまま使うこともあります。マダガスカルの水に乏しい地方では、幹をくりぬいて雨水を汲みいれ、その水で乾期をしのぎます。
バオバブの木

バオバブの木

バオバブの実

バオバブの実(乾燥地かんそうち研究センター所蔵)



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