武靖 (WU, Jing)研究員、黒崎准教授らの論文がSustainabilityに掲載されました。


Evaluation of Climatic and Anthropogenic Impacts on Dust Erodibility: A Case Study in Xilingol Grassland, China
中国シリンゴル草原におけるダスト受食性に対する気候および人為的影響の評価
https://doi.org/10.3390/su12020629



気象台データを用いた受食性指数(風食に対する土壌・地表面の脆弱性指標。黄砂の発生しやすさ指標。)を提案し、中国シリンゴル草原Abaga-Qi(アバガ旗)におけるダスト(黄砂)発生原因の解析を行った結果、1974−2018年春季のダスト発生頻度の年による違いは、風ではなく、土壌・地表面の変化に依存していることを明らかにしました。さらに、気候(降水量、気温)および人為的な要素(家畜頭数)の受食性への影響について重回帰分析を行い、中国の砂漠化対処政策のひとつ「退牧還草」による家畜頭数(主に羊とヤギ)減少が受食性低下(黄砂発生抑制)に貢献していること、2013年頃の退牧還草終了が原因と考えられる家畜頭数増加によって受食性が上昇に転じていることを明らかにしました。


 
(上図)アバガ旗(中国内モンゴル)における春季の侵食能(強風頻度、SWF)、受食性(DOR)、ダスト発生頻度(DOF)の経年変化。赤矢印は2001年から受食性が低下し、2013年から増加していることを示している。

(下図)アバガ旗における家畜頭数の経年変化。赤矢印は1999年から家畜頭数が減少し、2013年から増加していることを示している。