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砂漠化防止と生態系の回復技術

砂漠化のモニタリング(リモートセンシング技術の利用)

砂漠化を防止するにはまずどの地域でどの程度砂漠化が進行しているのかという現状把握が必要である。この図は中国黄土高原における退耕還林(畑をやめて自然の植生の戻す政策:1999年)後の植生の増加,減少の度合い(2004年の植生量から1999年の植生量を差し引いたもの)を示したもの。



提供 木村玲二


乾燥地研究センターではNOAAという衛星のAVHRRセンサーで取得したデータを受信し,主として中国やモンゴルの乾燥・半乾燥地帯における砂漠化をモニタリングしている。衛星データによって植物の量や種類,土壌中の水分量などを観察する。


砂丘固定技術

中国毛烏素(モウス)砂漠での砂丘固定(固砂林の造成)


提供 森本幸裕


中国内蒙古自治区の毛烏素砂漠では砂漠化に伴い固定されていた砂丘が流動化し、年間1m程度移動するようになっている。ここでは流動砂丘を固定するため、植林が行われている(固砂林と呼ぶ)。

毛烏素砂漠は半乾燥地域であるが、豊富な地下水が存在し、樹木の生長が可能な地域である。植林は流動砂丘の風上側で、水分条件が良好な場所に砂柳(低木の柳)の枝を直接挿し木する方法で行われる。活着した砂柳が生長すると、植林した砂丘先端部の砂の移動が治まり、固定される。そして、それより上部の砂は風で侵食されるため、砂丘の高さは減少する。翌年には前年植林した部分より少し上部に同様の植林を行う。これを繰り返すことにより砂丘の高さは徐々に低下し、最終的に固定される。5〜7mの高さの砂丘が4〜5年で固定できるといわれている。固砂林の造成には低木の砂柳に加え、高木になる旱柳も用いられる。





図4 自然回復力を有効利用した砂丘の固定・緑化方法




中国内陸部の草方格


提供 山中典和

図5 幹線道路沿いの草方格(中国)


中国内陸部では、固砂林の造成に加えて、道路、鉄道などの特に重要な施設を飛砂害から守るために、草方格と呼ばれる、よりきめ細やかな緑化が行われている。
草方格とは麦わらや樹木の枝を砂中に押し込み、低い柵を約1mX1mの格子状に作って行き、砂の動きを抑える方法である。毛烏素砂漠の道路沿いやトンゴリ砂漠を走る包蘭鉄道沿いでは麦わらを用いた草方格が広がっている。


半乾燥地域の緑化技術

樹種選択


提供 玉井重信  バオバブ(セネガル)

サヘルではもっとも有用な樹木のひとつで、伝統的に保護され崇拝されている。


半乾燥地域の植林では植栽樹種を何にするかが最も重要な問題となる。過酷な自然条件下で、広い面積に植えられた苗木を長期間かけて育てて行くには、出来るだけ低コストで手間の掛からない方法を考える必要がある。そのためには、まず、現地の過酷な自然条件に適応した耐干性、時には耐塩性を備えた樹種を慎重に選択しなければならない。さらに住民の生活の観点から、葉が家畜の餌として利用できる、あるいは果実が食用となる等の多目的利用ができる樹種が求められている。
アフリカの半乾燥地域では、従来、早期緑化の観点から成長の特に早い外国樹種を使用した緑化が多く行われてきたが、現在では地域の自然条件に適応した郷土樹種を見直す傾向にある。





植栽技術(雨水の有効利用)

地下水を利用できない地域で、植林を成功させるためのポイントは、限られた雨水をいかに有効利用できるかにかかっている。


マイクロキャッチメント

植え付けた苗木を囲むように半円形またはV字状に盛り土をし、その中を流れる雨水を逃がさず土中にしみこませる方法。



提供 山中典和

魚鱗抗(中国)




マルチング

一度土壌にしみこんだ雨水が土壌表面から失われるのを防ぐため、苗木の周りにマルチング(小石を敷き詰めるストーンマルチ、砂を敷く砂マルチ等)を行う。さらに苗木周辺の雑草による水の収奪を防ぐため、土壌の掻き起こしを行い、徹底的な除草をする。




アグリフォレストリー(Agroforestry)


提供 玉井重信
畑地での植樹風景(セネガル)


アグロフォレストリーとは樹木と農作物あるいは家畜とを意図的に組み合わせた土地利用方法のことで、それぞれの構成要素間には生態的、経済的な相互作用が見られる。このシステムは亜熱帯・熱帯地域を中心に世界各国でみられ、農村開発に伴う様々な問題(食料、燃材、動物の飼料、建築材料の不足等)に対する解決策の一つとして注目を集めている。その形態は空間的スケールにおいても、構成要素の組み合わせにおいても非常に多様であり、地域により大きく異なる。
乾燥アフリカのサヘル地域にみられるアグロフォレストリーの一例として、ミレットやソルガムを基本とする耕作システムとアルビダアカシア等の組み合わせが挙げられる。耕地の間にアルビダアカシアを植栽することにより、土壌改良や微気象の改良が進み、作物の収量が増大する効果が得られる。また、アルビダアカシア自体も多目的に利用されている。



種子の空中散布


提供 魏 江生
図7 飛播造林(中国毛烏素砂漠)


飛行機を用いた空中播種による緑化で、大面積の緑化に有効。中国では内蒙古自治区や陜西省の半乾燥地域緑化に多く用いられており、「飛播造林」と呼ばれている。播種される植物はその土地に自生する植物が中心で、ヨモギ類、マメ科の低木や草本、マツ類等がよく使われる。
播種前の種子の処理として、肥料や保水材を含めた黄土粉でコーティングされた種子丸にして播種される場合もある。


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