21世紀COEプログラム「乾燥地科学プログラム」
21世紀COEプログラムとは
21世紀COEプログラムは、文部科学省が、国公私立大学を通じて世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進した事業で、平成14年度から平成18年度まで実施されました。
プログラムの概要
本拠点「乾燥地科学プログラム」は、本学が今までに蓄積した砂地における環境計測や植物生産、植生回復などに関する知見や技術をその形成基盤とします。これらを広く乾燥地土壌に適用可能なものへ高度化するとともに、エネルギー工学や社会医学分野の知見と技術の融合を目指した新たな乾燥地科学に関する実践的な問題解決型研究を推進しました。特に技術面に関しては、砂漠化地域の伝統的知識も活用した、現地調達可能な材料による、化石エネルギーに極力依拠しない、保守管理の容易な技術パッケ-ジの開発に資する研究の推進を重点としました。
事業計画
研 究
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環境計測グループ
「砂漠化対処に資する環境モニタリング技術の開発」 -
環境修復技術グループ
「砂漠化対処に必要な環境修復技術の確立」 -
植物生産グループ
「持続的植物生産システムの構築と遺伝子組換えによる耐乾性・耐塩性植物の作出」 -
自然エネルギー利用グループ
「自然エネルギーを利用した電力生産、集水技術、灌漑水反復利用技術の開発」 -
社会医学グループ
「砂漠化対処に向けた環境教育と乾燥地保健医学の基礎構築」
教 育
本拠点では、国連機関や国際農業機関、開発コンサルタント企業、JICA、NGOの研究者、技者などの養成を目指し、以下のような取り組みを計画しました。- 当該分野における世界的レベルの研究者、国連環境計画や国連砂漠化対処条約事務局などの専門家からなる教員集団による英語での研究指導と講義。
- 海外研究教育基地での長期インターンシップの義務化。
- 乾燥地科学に関する必修選択講義・演習科目の開設。
- 国連職員採用などの試験対策カリキュラムの編成。
成 果
研 究
環境計測グループ
- 生態学的診断法の開発(水文量のモニタリング手法、砂漠化モニタリング手法、水分塩分動態モニタリング手法など)
- 診断に基づく対策法の提言(生態系回復法の提案、土壌修復計画)
環境修復技術グループ
- 水管理法の確立(二次的塩類集積防止のための総合的水管理法の提案)
- 土壌修復法の確立(リサイクル資材を用いた塩類・ナトリウム土壌及び酸性土壌の劣化修復有機物資材を用いた劣化土壌の改良)
- 生態系回復法の確立(郷土樹種を用いた持続性を考慮した生態系修復技術の提案)
植物生産グループ
- 作物へのケイ酸施用による耐乾性獲得機構の解明とケイ酸誘導性の3種の未解明遺伝子の発見
- ソルガムとコムギの耐乾性メカニズムを解明
- 中生植物の塩吸収様式の解明
- 乾燥地ビニルハウスにおける節水栽培法の確立
- 宿主植物と根寄生雑草の相互作用解明
- 遺伝子組換えによる5種の新規耐乾性作物の作出
自然エネルギー利用グループ
- 砂漠環境に適用する風力発電機の研究開発
- 灌漑用水反復利用システムの開発
- 砂漠緑化支援技術としての造水装置の研究開発
- 黄土高原におけるフィールド実験システムの構築
社会医学グループ
- 乾燥地域の健康・QOL水準評価方法
- 経済的サポートと健康関連QOLの関連
- 湿度を加味した熱中症の実験
- 乾燥地保健医学コースの設置準備