乾燥地・半乾燥地における水不足や塩害,あるいは湿潤地帯における肥料分の過剰溶脱といった問題に対して,従来では圃場実験で試行錯誤的によりよい管理パターンを探索する,あるいはセンサーを設置して不足が生じた場合にのみ補給するといった手法で対応してきましたが,前者では実験に長い年月と大きなコストがかかり,後者では天気予報との連携や価格を考慮した最適化が行なえません。一方,土壌物理学で培われてきた水分・溶質移動や吸水・成長のモデルを活用し,正確なパラメータを入力してコンピュータシミュレーションを行なえば,かなりの精度で現状を把握したり潅漑や施肥の結果を予測することができます。 コンピュータシミュレーションを利用するとはいっても,もちろんコンピュータだけで研究が完結するものではありません。まず採用するモデルが適切かどうかの検証実験が欠かせませんし,モデルが適切でも,正確なパラメータを入力しなければでたらめな計算結果になってしまうので,パラメータ測定実験も欠かせません。ですから,コンピュータはちょっと苦手だけれども,実験で汗を流すのは苦にならないという人も歓迎します。 |